オーナー型企業とプロフェッショナル型企業の違いについて

ビジネスの世界は多様で、その多様性は経営者の形態にも反映されています。今回は、経営者がオーナー社長である「オーナー型企業」と、経営者が雇われ社長である「プロフェッショナル型企業」の違いや、そこで働く場合のメリット・デメリットについて考察していきます。

目次

オーナー型企業とは

オーナー型企業の社長は社長自身が会社の創設者または主要な株主で、「オーナー社長」と呼ばれます。

オーナー社長の下では、社長自身のビジョンが会社の方向性を大いに左右します。また、オーナー社長は会社を家族の一員のように感じ、企業の成長と成功に個人的な情熱を注ぐ人物が多いです。この情熱は会社の動力となり、時には大胆なリスクを取る原動力ともなります。

彼らのビジョンが成功すれば、それは大きな収益となり、会社全体がその恩恵を受けます。しかし、裏を返せば大きな損失を被る可能性もあるということです。また、オーナー社長が採用する意思決定のプロセスはしばしば直感的で、迅速です。

オーナー社長というと、たとえばFacebookのマーク・ザッカーバーグのようなイメージが浮かびます。ザッカーバーグはFacebook(現在の社名はMeta)の創設者であり、会社の重要な株主でもあります。そのため、彼のビジョンと情熱がFacebookの方向性を大いに左右しています。

オーナー社長は会社を自分の一部として見る傾向があり、その成功は個人的な成功と直結しています。

プロフェッショナル型企業とは

プロフェッショナル型企業の社長は、いわゆる「サラリーマン社長」と呼ばれます。

サラリーマン社長は会社の株式の大部分を所有していませんが、そのプロフェッショナルな経営スキルと知識で会社をリードします。彼らはしっかりとした給与を得ながら、会社の成長と株主価値の向上に尽力します。

雇われ社長の意思決定は通常、詳細な分析と共有された意見に基づいています。彼らはプロとしての視点から、リスクを最小限に抑えつつ、会社の安定した成長を追求します。それは確かに成長は穏やかですが、その安定性は長期的な成功を保証する可能性があります。

このタイプの代表例としては、例えばMicrosoftのサティア・ナデラが挙げられます。ナデラはMicrosoftのCEOになるまでに長年同社で働いてきましたが、彼は創設者ではなく、経営スキルとビジョンで企業をリードするプロフェッショナルな経営者です。Microsoftはナデラのリーダーシップの下で、クラウドコンピューティングやAIといった新たな領域での成功を収めるなど、進化を続けています。

2つの経営スタイルが会社にもたらす影響

「オーナー社長」と「サラリーマン社長」、それぞれの経営スタイルが会社にもたらす影響は様々です。オーナー社長のいる会社では、そのビジョンが強く反映され、組織全体が一体感を持つことがあります。その一方で、リスクが伴う大胆な決断が必要な場合もあります。

一方、雇われ社長が率いる会社では、経営陣が定期的に交代することで新たな視点やアイデアが持ち込まれ、さまざまな変化に対応する柔軟性が見られます。また、穏健なリスク対策と安定した経営を追求する傾向があります。

社員の立場から見たオーナー型企業とプロフェッショナル型企業の違いとは?

では、実際働く場所として考えた場合、どちらのタイプの企業で働くほうが良いのでしょうか?以下では、社員の立場から2つの企業タイプに関するメリットとデメリットについて考察していきます。

【社員の視点から見たオーナー型企業】

メリット:オーナー社長のいる会社では、ビジョンが明確であり、その情熱が組織全体に伝わるため、一体感を持つことができます。また、オーナー社長が自分自身を投じて事業に取り組む様子は、従業員にとって高いモチベーションを生む可能性があります。スタートアップなどでは、そのビジョンが現実化した時、ストックオプションが付与されるなど初期の従業員にとって大きな報酬が生まれることもあります。

デメリット:一方で、オーナー社長はしばしば自分の直感や信念に基づいて決断を下すため、組織内で意見が分かれることもあります。また、オーナー社長がリスクを取りすぎて会社が破綻する危険性もあります。そのため、安定性を求める従業員にとっては不安定な環境に感じられることもあります。また、社長の人格と自分が合わない場合、会社にいられなくなるといった事態も可能性としてはあり得ます。

【社員の視点から見たプロフェッショナル型企業】

メリット:サラリーマン社長の下で働くことのメリットは、意思決定を合議制にしている会社が多いため、経営が比較的安定していることです。サラリーマン社長はプロフェッショナルな経営者として、リスク管理を重視し、会社を穏やかな成長へと導く傾向があります。また、サラリーマン社長には任期が設定されているケースが多く、経営者が定期的に変わるのが一般的です。このことでトップが交代するたびに新鮮な風が吹き込み、組織の活性化が図られることもあります。

デメリット:しかし、ビジョンが頻繁に変わると、従業員が混乱したり、方向性を見失ったりすることもあります。また、雇われ社長は往々にして収益性を最優先するため、従業員の福利厚生や職場環境が犠牲になることもあります。

このように、それぞれのタイプの経営者には、そこで働く者にとってのメリットとデメリットがあります。どちらが良いかは、社員個々の価値観やキャリアの目標によるところが大きいです。

その会社のビジョンや組織文化、そしてリーダーシップスタイルが自分に合っているかどうかを考えてみることが重要です。

まとめ

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経営者のタイプにより、その会社の経営方針や組織文化は大きく変わります。オーナー社長はその情熱とビジョンにより、会社全体を引っ張っていく力を持っています。一方、サラリーマン社長はプロフェッショナルな視点から会社をリードし、安定した成長を追求します。

どちらが優れているとは一概には言えません。それはその会社のビジョン、目標、戦略、そして経営環境によるところが大きいです。

重要なのは、それぞれのリーダーシップスタイルが組織の成長と発展にどのように貢献しているかを理解し、その特性を最大限に活用することです。それこそが、経営者としての成功への鍵となるでしょう。

また、働く者の立場で両者を比較した場合、どちらの企業のほうが働きやすいか、といった差はその人の捉え方によります。

例えば転職する際に、ドラスティックな仕事を通じて自身の成長を目指したいのであれば、情熱的なオーナー社長の下で働くことが効果的でしょうし、安定的な仕事を長く続けていくことが目標なのであれば、プロフェッショナル型企業で働いたほうが良いかもしれません。

これらの企業タイプが、転職時の会社選びの大きな要因になるかどうかはその人次第ですが、オーナー型企業とプロフェッショナル型企業という2つのタイプの企業に、こういった違いがあるということは頭に入れておいても損はないのではないでしょうか。

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