あなたが働いている会社は「ブラック企業」かもしれません ~ブラック企業の特徴と対策に関するまとめ~

ブラック企業とは、過労や違法な労働慣行が問題となる悪質な企業を指します。以下にブラック企業の一般的な特徴をいくつか挙げます。この中で2つ以上当てはまる項目があれば、ブラック企業だと思ってよいかもしれません。

1)労働時間が長い
長時間働かせることが当たり前で、休みもほとんどなく、働きすぎが原因で過労死や過労自殺が起こることがあります。

2)労働条件が適切でない
低賃金や不安定な雇用形態が一般的で、労働者の権利や安全が無視されることが多いです。

3)労働法違反している
労働基準法や労働者派遣法などの法律に違反し、違法な労働慣行を行っていることが多いです。

4)パワハラやモラハラが横行している
上司や同僚からの過剰なプレッシャーや、精神的・肉体的な暴力が横行していることがあります。

5)賃金未払いや残業代未払いがある
労働者に対して法定以上の労働を強いる一方で、賃金や残業代を支払わないことがあります。

6)退職が難しい
退職を申し出ると脅迫や嫌がらせを受けることがあり、退職することが難しい状況が生まれます。

7)企業文化が悪質
派閥や上下関係が厳格で、新入社員や女性などが特に厳しい扱いを受けることがあります。


これらの特徴がある企業は、労働者の健康や生活に悪影響を与え、昨今では社会問題にもなっています。

あなたが勤める会社はどうでしょう?

これから就職をしようとしている方は、ブラック企業を避けるために、就職活動の際には企業の評判や労働環境を調査し、注意深く選択することが重要でしょう。

目次

法令違反をしている企業は70%もある!?

日本では労働環境の番人として、各都道府県に設置された労働局や労働基準監督署という組織があります。その中で労働基準監督署は、毎年企業への立ち入り検査を行っており、その内容が厚生労働省が発表している「労働基準監督年報」というレポートにまとまっています。


最新版は令和3年版ですが、そこには立ち入り検査した企業の約70%が何らかの法令違反をしていたという結果が記されています。

「法令違反があった」という企業のすべてがブラック企業とは言えませんが、ち入り検査した企業の約70%もの数が法令違反をしているとなると、他にも多くの企業が労働法遵守に関する意識が低くなっている可能性があります。



以下の章では、今あなたが直面しているこれらの問題に関する解決方法をまとめています。

1)「労働時間が長い」という問題について

日本の労働基準法によれば、一般的な労働時間は以下の通り定められています。

1日の労働時間: 8時間以内

1週間の労働時間: 40時間以内

ただし、休憩時間は労働時間に含まれません。また、企業と労働者が合意した場合、労働時間を延長することができますが、1日の労働時間が22時から翌5時までの間に及ぶ場合、その労働時間は8時間を超えてはならないとされています。

特定の業種や職種によっては、労働時間の上限が異なる場合があります。例えば、製造業や建設業などの特殊な業務に従事する労働者については、労働時間の制限が緩和される場合があります。

具体的に労働時間の制限が緩和される場合がある業種や職種は以下のようなものが想定されています。

1:製造業
連続生産を行う工場や、生産工程の途中で作業が中断できない場合など、特殊な条件下で働く労働者に対しては、労働時間の制限が緩和されることがあります。

2:建設業
建築現場や土木工事現場で働く労働者に対しては、一定の条件下で、労働時間の制限が緩和されることがあります。これには、緊急の工事や、限られた期間での工事が含まれます。

3:交通業
鉄道やバスなどの運行業務に従事する運転士や車掌に対しては、運行スケジュールや緊急事態に対応するため、労働時間の制限が緩和されることがあります。

4:医療業界
医師や看護師などの医療従事者は、患者の緊急手当てや病院内のシフト制により、労働時間の制限が緩和されることがあります。

5:消防や警察
緊急事態や災害時に対応が必要な職種であるため、労働時間の制限が緩和されることがあります。

これらの業種や職種においては、労働時間の制限が緩和されることがありますが、労働者の安全や健康を守るために、代わりに休憩時間や休日を確保するなど、適切な対策が取られることが求められます。また、労働時間が延長される場合でも、適切な残業代が支払われることが法律で定められています。

また、時間外労働や休日労働については、法定の労働時間を超えた場合、残業代が支払われることが義務付けられています。これらの制度は労働者の権利を保護し、過労を防止するために設けられています。

2)「労働条件が適切でない」という問題について

低賃金や不安定な雇用形態が一般的で、労働者の権利や安全が無視されることが多いです。

特に、賃金に関しては最低賃金が各都道府県別に定められており、これを下回る賃金設定の場合は完全に法令違反となります。

以下に厚生労働省のウェブサイトに出ている2023年4月時点の最低賃金(時給)をまとめました。

もしあなたが働いている会社で、上記の最低賃金を下回る給与しかもらっていないのであれば、すぐに労働金監督署や都道府県に設置されている労働局に相談の連絡を入れましょう。

3)「労働法違反をしている」という問題について

労働基準法や労働者派遣法などの法律に違反し、違法な労働慣行を行っている会社というものが存在します。違法な労働慣行にはさまざまなケースがありますが、以下に一般的なものをいくつか挙げます

労働時間の違反
法定労働時間を超える働かせることや、過労による健康被害を無視することが違法です。また、休憩時間や休日が適切に確保されていないケースもあります。

賃金の未払い
労働者に対して適切な賃金を支払わないことは違法です。例えば、残業代の未払いや最低賃金を下回る賃金の支払いなどが該当します。

違法な派遣
労働者派遣法に違反して派遣労働者を不当に使うことは違法です。例えば、派遣先企業が労働者に対して直接指揮命令を出すことや、派遣期間の制限を無視するケースなどがあります。

労働者の権利の侵害
労働者の適切な労働条件や待遇を拒否することは違法です。例えば、労働組合活動への妨害や、性別・年齢・人種などによる差別待遇などが該当します。

違法な解雇
事業主が労働者を不当に解雇することは違法です。例えば、解雇の事由が明確でない場合や、妊娠・出産・育児休業を理由にした解雇などが該当します。

労働安全衛生法違反
事業主が労働者の健康や安全を守るための措置を怠ることは違法です。例えば、適切な安全装置の設置や教育・指導が不十分な場合などがあります。

これらの違法な労働慣行は、労働者の権利を侵害し、労働環境の悪化につながります。労働者は、労働基準法や労働者派遣法などの法律で保護されており、違法な労働慣行に対しては労働局や労働基準監督署などの行政機関に相談や通報を行うことができます。これらの機関は、労働者の権利を守るために法律を執行し、違法行為に対して調査や指導を行います。

違法な労働慣行を防ぐためには、労働者が自分の権利を理解し、適切な労働環境が整備されるよう働きかけることが大切です。また、事業主も労働法や労働者の権利を尊重し、適切な労働環境を提供することが求められます。社会全体で労働法の遵守意識を高め、違法な労働慣行が減少することが望まれます。

4)「パワハラやモラハラが横行している」という問題について

パワハラやモラハラは、労働者の健康や生活に深刻な影響を与える問題です。職場環境の改善や問題解決に向けて、適切な相談窓口や組織を利用して対処しましょう。そして、社会全体でパワハラやモラハラに対する意識を高めることが重要です。

パワハラやモラハラに悩まされている場合、以下のような相談窓口や組織があります。これらの相談窓口では、専門家や相談員が適切なアドバイスや支援を提供してくれます。

労働相談窓口
各都道府県の労働局や労働基準監督署には、労働相談窓口が設置されています。パワハラやモラハラに関する相談ができ、法律や労働条件に関する情報を提供してくれます。

厚生労働省のウェブサイトにも「あかるい職場応援団」というページがあります

NPOや専門の相談機関
パワハラやモラハラに対応する専門のNPOや相談機関も存在します。インターネットで調べることで、地域や問題に対応した相談機関を見つけることができます。

また、内人事部に相談窓口があったり、労働組合がある場合は、そこに相談するのもひとつの方法ですが、相談内容が社内に漏れるなど組織として機能していないケースも考えられます。自分の会社のそのような窓口がしっかりしているかどうかを事前に調べることは中々難しいことなので、少しでも心配がある場合は、外部の相談窓口にまずは相談してみるのが良いかと思います。

また、相談ではなく告発したいというケースの場合は、費用はかかりますが弁護士に相談してみるのが最も話が早いかと思います。この場合、労働問題に明るい弁護士に相談するのがおススメです。

以下のサイトには労働問題に明るい弁護士の紹介を都道府県別に掲載されていますので、ここで探して見るのも良いかと思います。

費用がかかるという点で足踏みしてしまう方も多いかと思いますが、まずは話を聞いてもらわないことには先に進みません。弁護士によっては、話を聞くだけなら費用を請求しないというケースもありますので、前述のサイトなどを参考に、気になる弁護士さんを見つけたら、まずは連絡してみることをおススメします。

なお、パワハラやモラハラの相談を行う際には、具体的な事例や状況を整理して説明することが重要です。できるだけ詳細な情報を提供することで、適切なアドバイスや支援が受けられます。また、相談を行うこと自体が精神的な負担となることもありますが、自分の権利を守るために勇気を持って行動することが大切です。

5)「賃金未払いや残業代未払い」という問題について

この場合、各都道府県の労働局や労働基準監督署には、労働相談窓口が設置されており、賃金未払いや残業代未払いに関する相談や法律や労働条件に関する情報を提供してくれます。

しかし、労働局や労働基準監督署は法的な強制力を持っていないため、あなたの相談を受けて調査や起業への指導はしてくれますが、その後実際に賃金が支払われるかどうかは企業側の判断となってしまいます。

どうしても支払ってもらわないと困るという方の場合は、弁護士に相談の上、会社側を訴えるところまでやらないと支払いの可能性が見えてこないケースもあります。

ただ、そもそもの話になってしまいますが、あなたの貴重な時間を使って働いている事実に対して賃金や残業代を支払わないという時点で、会社はあなたの事を大切にしていません。そのような会社は、被害が大きくなる前に一刻も早く退職し、関係を断ち切ることをおススメします

6)「退職が難しい」という問題について

退職を申し出ると脅迫や嫌がらせを受けることがあり、退職することが難しい状況が生まれます。

この場合、まずはあなた自身がきっぱりと辞める決断を貫くことが大切です。その意志さえしっかりしていれば、あとは以下のような退職代行サービスを使うのが良いでしょう。

最後に

かつての日本企業は「終身雇用」が一般的で、一度入社するとそのまま定年まで働くという人生が一般的でした。その時代は、今自分がいる環境に慣れてしまったり、他社の状況を知る機会があまりないなど、ブラックな環境であるという事を知ることがなかなかできませんでした。

しかし時代は変わり、正社員になるのにもひと苦労するという今の時代では、労働者は少しでも良い環境、少しでも良い給料を求めて職場を変わっていくことが一般的です。

とはいえ、せっかく入社した会社からすぐに辞めてしまえば、経験もスキルも身に付きません。最悪なのは「転職ジプシー」と呼ばれるような、ひとつの仕事が長続きしない人です。

一方で、真面目な人ほど今置かれている環境を何とか乗り越えようとするもの。その過程で、過労や鬱などになってしまっては、経験もスキルの習得もありません。

今いる環境が自分にとって強く、あるいは長く「不幸だ」と感じているならば、その環境で長く働くことはおススメできません。抜け出せないならば、外部の機関や組織を頼ってでも環境を変えるべきです。

一番大切なことは、あなた自身の人生が幸せなものであること。あなた自身が生きていて「幸せだな」と感じていることです。

この記事を読んでくださった方すべてが、幸せに過ごせる未来を掴めることを、私は心から祈ります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次