わたしの転職の話

最初に入った会社はラジオ局でした。

経理から始まって、番組制作、編成、広報、営業と、いろいろな経験をさせてもらいましたが、新卒入社から10年目に、自分が勤めている会社の買収話が持ち上がりました。

買収元は、その時代の先端を走っていたIT企業。その当時ラジオ局の広報を担当していた私は、普段からお世話になっていた、とある新聞社の記者の方からの早朝の電話でこの事実を知りました。急いで出社してみると、通常の出勤時間よりだいぶ早い時間でしたが、上司はもちろん、会社幹部はすでに会議に入っていました。「ああ、これは本当のことなんだな」。記者の方からの電話を聞いたときには、まだ気持ちがフワッとしていたのですが、出社してみて初めてこの情報が事実で、今まさに大変な状況が始まったんだなと感じました。

その後、怒涛の広報対応が始まりました。今ラジオを聴いてくださっているリスナーの方に、今までと変わらず番組をお届けできるようにしなければならないという使命感。また、そこで働くすべての仲間たちが、不幸にならないこと。となると、まずは買収防衛がやるべきことなんだと信じ、上司に相談しながら必死に走り回りました

結果、1年くらい後に買収は不成立となり、私たちの防衛ミッションは終わりました。

その1年間で色々なことを感じました。逃げずに正面から戦う人。目の前の仕事にひたすら集中する人。転職先をすぐに探しだした人。どこか他人事で面白がっているだけの人。社内の人間模様はさまざまでした。

その当時私は30代でしたが、私自身も不安を抱えながらの毎日でした。だから、色々な反応が出ることはわかるんです。不安だから転職先を探す。不安だけど何もできないからナナメに見ることで不安な気持ちを逃す。わかります、そんな気持ち。でも逃げられない仕事をしている私のような社員もいて・・・。一方で、「大丈夫だ!」と毎日声をかけてくれる上司や役職が高い方もいました。どれだけ心強かったことか。

そんな仕事も気持ちも揉みくちゃの1年が終わり。社内に平穏が訪れたとき、ふと思ったんです。「このままこの会社いて、僕はどうなるんだろう」と。そして、こうも思いました「自分の人生にもっと責任を持たなければならない」。自分は新卒入社した今の会社しか知らず、世間はたくさんの会社がある。世の中は本当に広いのだな。もっと知りたいな。と感じました。

そんな時に、あるご縁でヘッドハンターの方と知り合います。その方に色々と相談してみると、紹介できる会社があり、キャリア的にも合っているかもしれない。一回先方の会社の人に会ってみないかとのこと。当時自分が勤めていた会社のことは本当に好きだったので、その会社の人に1回会うことすら、今自分がお世話になっている会社や仲間、上司を裏切るような気持ちもあって悩みましたが、広い世間を知るために必要なこと、と考え、会ってみました。

その後、色々な経緯を経て、1年後、その時お会いした会社にお世話になることにしました。

私の転職は、会社買収事案が発生するという、自分にとって大変大きな出来事がきっかけでしたが、例えば家庭のご事情で辞められた先輩、病気が原因で辞められた同僚、もっと成長したい、稼ぎたい、と会社を飛び出した友人もいます。辞める理由は様々。案外人生には、突然思いもよらない出来事が起きるものです。

誰しも、「今日よりも、より良い明日」にしたいと考えるのは当たり前のこと。だから、転職をすること自体、誰にとっても良し悪しはありません。また、その時の自分にとって「より良い仕事」を求めるのも当たり前のことです。

ただ、私がいつも思うのは「自分にとってのより良い仕事」とはどんな仕事なんだろう、ということです。別の記事でも書きましたが、「お金」「やりがい」「業界」「仕事内容」「福利厚生」「社会的な認知度」など、仕事にまつわるパラメーターは色々あります。そのパラメーターが出来るだけ良い条件であってほしいのは誰でも同じです。その一方で、私が考える一番大事なことは、「誰の役に立つのか?」ということ。そして、それが「世の中の役に立つことに繋がるのか?」ということです。

これって漠然とした綺麗事なんじゃない。いい年こいて青臭いよね。そうかもしれません。「お金が全てじゃないなんて」ことも、簡単には言えません。でも全ての条件を満たす仕事なんてそうそう無いのなら、自分にとって一番大事な仕事の価値観は何なのか?それが人に言うのは照れくさいような青臭いことであったとしても、自分がそう信じたのなら、私はそれが正解だと思いますし、そういった仕事に就ければハッピーなんじゃ無いかなと思います。

ブログタイトルにある「幸せな転職」を一人でも多くの人が掴み取れますように

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