【Case 26】再就職に苦戦中。「出戻りサラリーマン」を目指す50代目前男の転職大苦戦ストーリー。

TIさん48歳/男性/転職1回

いま思えば、私はうだつのあがらないサラリーマンでした。

私は39歳まで中堅の広告代理店で働き、その後独立。現在は小さいながらも広告代理店をひとり企業で営んでいます。

会社員時代は、仕事は自分なりに頑張っていましたが、成績は良かった時ももちろんありつつ、平均するとギリギリ平均点より上くらいの位置だったと思います。夜は毎晩のように、同僚や上司部下たちとお酒を飲みながら会社や仕事の愚痴を言って、帰りはいつも深夜。平日は疲れが抜けず週末はほぼ寝ている状況。

昇進は同期と比べても早くもなく遅くもなく。30代の頃は古いお付き合いをさせて頂いていたクライアントさんとの仕事が多く、良く言えば安定した仕事で、悪く言えば変わり映えの無い毎日。

このまま年取って埋もれていってしまう恐怖感を時折感じながらも、それでも毎日の忙しさを理由に、現状維持に甘んじている自分に気付いていました。会社や仕事に漠然とした不満はありました。中々上がらない給料。時間の無駄じゃないかと感じる社内会議。会議のための会議も多く、資料作りは連日山のように積みあがる・・・。

私は営業でしたが、30代も後半になると部下もつき、その管理やら評価やら・・・インサイドワークが多くなり、社外に行くことも減りました。

みんな働いていればそれぞれ不満や不安はあるでしょう。それでも自分なりに愛社精神はありましたし、仕事もつまらなかったわけではありません。時折入ってくる大きなプレゼンの時などは、チーム一体となって連日深夜まで議論をしたり資料を作ったりして、そんな瞬間はやりがいや楽しさを感じたものです。

しかしずっと心の奥にひっかかっていた未来への不安は、結局消えることがありませんでした。

そんな毎日から何とか抜け出そうと、40代目前で一念発起し、独立。それまで続けて来た広告関連の仕事からスタートしました。既存商材をベースに、それまで可愛がってくれていた馴染みのクライアントさんから仕事をもらい、お金も回りだすと日々の充実感も増していき、毎日「生きているな自分!」といった充実感を感じながら働いていました。

そんな、色々なことが軌道に乗り始めたかと思っていた矢先、コロナ禍がやってきました

それまで定常的にあった仕事が一気に激減。国からの補助金や、政策金融公庫からの緊急融資などでその場をしのぎました。

「コロナ禍が明ければ仕事は元どおりになるだろう。」

「コロナが収まるまで2年?3年?その間なんとかしのげれば、未来はまた明るいはずだ。」

コロナの気球事態宣言期間中、何度か心が折れそうになる時もありましたが、それでもこんな前向きな気持ちで、コロナ後の仕事に向けた新しい取り組みとしてどんなことが出来るか?など色々と準備も進めていました。

2022年後半。コロナ禍もだいぶ収まり、街も活気を取り戻し始め、クライアントからの相談も少しずつ戻り始めたように感じていました。

しかし、コロナ禍依然と比べると仕事の規模は小さく、相談内容も今までとは違うものに少し変わってきていました。広告業界のこの数年の手法の変化やトレンドの変化は目まぐるしいものがあり、昔からのクライアントもかつてのような広告手法から、徐々にデジタルマーケティングやSNSの活用を考えるようになっています。そうなると私の得意分野ではなく、他の広告代理店に仕事を奪われるケースも散見されるようになってきました。

こんなことが続き、昔のような規模に仕事が戻るロードマップが中々見えてこないのです、

気付けば私も現在は40代後半。このまま仕事が戻らなければヤバいことになるなという焦りが出てきました。

「再就職すべきか・・・」。

幸い子供は現在大学生で、もうすぐ卒業。妻も働いているので学費など含めて、子供の大学卒業まではお金の問題はありません。しかし、その後の長い人生を考えると、このままひとり広告代理店を続けるべきか、それともサラリーマンに戻るか悩み始めました。

カラダは今後ドンドン衰えていく。会社は一人でやっているので、お金を稼ぐためにはこの先も一人で頑張らなくてはいけない。コロナ禍は収まってきたけど、仕事は以前のように戻る気配を感じない。

独立してサラリーマン時代の年収を超えたと喜んでいたのも遠い昔。コロナ禍の影響とはいえ、今は会社を辞める直前のサラリーマン時代の年収を下回っている。いまは、「この先どう生きていこうか」という、自分的にはサラリーマン時代より圧倒的に重いテーマに毎日悩んでいる。

50代は目前。転職するなら今だ!と考え、早速転職エージェントに登録してみました。

最初は、「今の日本は人材不足。すぐに転職先は見つかるだろう。」くらいに考えていました。

面接や履歴書提出の案件も毎週のように来ました。

しかし、全く決まらないのです。

希望年収が高すぎるのではないかとか、仕事の内容を限定しすぎているのではないかなど、エージェントの担当者とも色々話し合って、幅を持たせた内容に変えていっているのですが、話は来るけど決まらないという状況が続いています。

40代後半の転職がこんなにハードルが高いとは正直思っていませんでした。そしてうかうかしているとあっという間に50代。エージェントの担当者は、「40代はもちろん、50代でも転職成功者はたくさんいます。TIさんは会社経営と言うご経験もされていますし、まだまだ諦めずに頑張りましょう!」と励ましてくれていますが、私のココロはドンドン沈んできています。

昔の会社の同期と先日久しぶりにお酒を吞みました。広告業界がこの20年くらいで様変わりしたこともあり、昔の会社も決して順調ではなさそうでした。同期がこんな話をしてくれました。

「会社の将来を考えるとやはり不安だよ。新しいツールや手法がバンバン出てきているから、とにかく学び続けなければいけないし、それでも新しい競合がドンドン出てくる。とにかく時代の変化のスピードがドンドン早くなっている気がする。会社を辞めたお前も大変だと思うけど、『出るも地獄残るも地獄』だと思うよ。」

株式の世界は、日経平均が何十年ぶりの高値を更新したとか景気の良い話も聞きますが、私の周囲では景気の良い話なんて何一つありません。

でもそんな事言ってられませんよね。自分のことは自分で何とかしないと・・・。

自分でやっている会社の仕事はまだあるし、貯えも多少はあります。妻も仕事は続けてくれているし、子供はもうすぐ就職。生活がすぐにどうこうなるわけではないのですが、先の事を考えると、何としても再就職を決めたいと考えています。

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