【Case 22】結果を出したのに何故・・・。転職先の会社の人間関係に悩んで退職した話。

TDさん33歳/男性/転職2回

新卒で入社した広告代理店で営業職に就いた私は、3年は何があっても辞めないと心に誓い、ガムシャラに働きました。その会社では人間関係は良くて、上司や先輩に可愛がってもらえたと思います。しかし、折からの不況や、会社が得意としているジャンルがオールドメディアだったこともあり、会社の行く末に関しては悲観的な考えを持っていました。 

「なんとか30歳までに転職したい」

そう考えた私は、入社7年目の年に転職を果たしました。その会社は同業で、学生時代の先輩が管理職になっている会社でした。折に触れ仕事の相談をしていた先輩でしたので、「うちに来ないか」と言ってもらった時には嬉しかったです。

転職先の会社はネット広告を主力にしている会社で、元々オールドメディア系の広告営業をしてきた私にとっては、新しく覚えることがたくさんあり、最初はとても苦労しました。また、若い会社だったので、転職と同時に部下を付けられることになったのですが、マネジメントは未経験だったので、部下とのコミュニケーションや管理に関しても思い悩む毎日でした。

転職先での私のポジションはいわゆるプレイングマネージャーだったので、自身も予算を持って営業をやりながら部下の管理もしなければならず、転職して1年は本当に寝る間もないくらい忙しい日々でした。

転職して2年目のこと。ふとしたことに気が付きました。取引先にもうちょっと入り込めれば、チームとして業績が上がるのではないか?それまでは、新しく企画を立てて売り込むというより、元々もらっていた仕事をキープする仕事がメインだったのですが、自分のお客様と話している時、もっと提案の余地があるなと思ったのです。

そこから、チーム全体で新しい提案をドンドンぶつけていこうと部下たちに話したのですが、どうも反応が良くありません。それまで企画ブレストをしたり、企画書を書いたりといった経験値があまりないから苦手に思っているだけでは?と思いましたが、それを指摘しても反感を買うだけかも。それならばまずは自分がお手本になって、売上UPをやってみようと思い、まずは自分の客先にドンドン新しい提案をぶつけてみることにしました。

結果は予想通りで、新しい提案を採用してくれるお客様が続出。他社に使っていた予算をもらうこともでき、その年は予算を大きく超える結果を出すことが出来ました。転職に際して声をかけてくれた先輩や、営業の上司も大変喜んでくれて、ボーナスも増えました。

翌年、その結果を元にチームとして取り組んでいこうと改めて部下たちに話してみると、やはり反応が良くありません。もちろん全員頑張っている様子だったし、自分の予算を日々追いかけていることは報告を受けて分かっていました。しかし、その頃の自分は「もっとできるだろう」と部下に対して不満を持っていました。それに自分が取り組んで結果が出たことなので、同じようにやれば結果がでると信じていました。

それからは、朝30分早く出社してもらったり、週1回の夜会議を設定したりして、顧客分析や新規提案のブレスト会議などをチーム全体でやるようにしてみました。中々成果は出ませんでしたが、それでも少しずつ前進していると感じていました。あの時までは・・・。

新しい取り組みを始めて半年ほど経ったある日のこと。上司から話をしたいと呼び出されました。思ったほどの成果が出ていないことに対する指摘の話かなと思って会議室に入ると、上司から思いもかけない言葉を掛けられました。

「ちょっと無理してないか?君のチームが疲弊していないか心配している。」

部下たちからは毎日細かく報告を受けていたので、その話の中で仕事上悩んでいることは分かっていましたが、疲れているかどうかまでは気が回っていませんでした。上司はこう続けます。

「実は君のチームの何人かから相談を受けた。仕事ボリュームが大きすぎて対応に苦戦していると。私は実績を出している君のやり方に賛成だが、あまり根詰めすぎてチームが壊れてしまうと元も子も無いぞ。もっと気配りしてチームをもっとまとめてくれ。リーダーとして大切な仕事だ。」

正直ちょっとショックを受けました。仕事が大変だなと思ったのなら、なぜ自分に言わないのだろう。自分に何の相談もなく、なぜ上司に相談しているのだろう・・・。その後2~3日は正直へこみました。自分の指導方法が良くなかったのではないか・・・。会議で傷つけるような事を沢山言ってしまっているのではないか・・・。

でもそんな事言ってられないほど予算は高く、売上を作らなければならないという使命感にも燃えていました。

今思えばそこでもっと部下に寄り添うべきだったのかもしれませんが、私はその後結果的にさらにアクセルを踏み込んでしまったのでした。

企画書を書くのに時間がかかりすぎる部下なら、その企画書は自分が手伝ってしまおう。客先でのヒアリングが甘い部下なら、訪問同行してもっと深堀りした話を引き出してやろう。

このように、私は更に忙しくなりましたが、もっと部下の仕事に介入するようになっていきました。何となくチームの雰囲気が更に良くない方向に向かっているのは感じていました。しかし、結果が出て、会社から褒められればみんな喜ぶだろう。そのためには、これはチームで乗り越えなければならない壁なんだ、と強く思っていました。

その年、チームとしては過去最高の結果が出ました。チームのみんなも喜んでいるように見えました。年度末に自腹で慰労会を開き、厳しい対応をしてきた自分の行いも直接詫びました。「来年はもっと頑張ろう!」とその時はチームがひとつになれた気がしました。

でも、私の思惑通りにはいきませんでした。チームの中で最も私に付いてきてくれていた3歳年下の部下が辞めました。その後も、退職者が2人出ました。部下は5人いたので、そのうち3人が半年のうちに辞めていきました。


上司に呼ばれました。

「君が頑張っているのは分かっている。成果も出た。でももしかしたら、うちの社風とは合わないのかもしれない。もう少し、他のチームの働き方も参考にしてみたらどうだ。」


何となく、自分の中で張りつめていた糸が切れた感じがしました。

「自分はリーダーとしての資質がない。」
「結果とは、出せばよいものではなく、出し続けなければならないものなんだ。」

本当に色々考え込んでしまって、自分を責めました。



転職の時に自分を引っ張ってくれた先輩にもこう言われました。

「あまり悩むな。今は転職が当たり前の時代だ。転職していった者は、もっと成長したいと思って辞めたんだろう。気にするなよ。」

自分を責めすぎて思いつめていた私は、その言葉で少し泣いてしまいました。

しかし、それで自分を責める気持ちが無くなるわけではありませんでした。

「リーダー失格」

私は毎日そう思って暗い気持ちで過ごしていました。そういった状況では、仕事の結果も出るわけがなく、営業成績はみるみる落ちていきました。

社内の目も気になりました。「3人も辞めさせた張り切りすぎのヤツ。」そういつも責められているような気がしていました。

そして1年後。自分の査定が大きく下がったのが、自分的にはトドメとなって、その会社を辞めることにしました。もうこれ以上この会社にいても貢献できない。そう思いました。

上司には大変引き留めてもらいましたが、私の気持ちは変わらず、退社しました。

その後、田舎に一旦帰りました。頑張ったのに、何故こんなことになってしまったのか・・・。


自分が正しいと信じたことを、人に押し付けすぎたのでしょうか。

社会人は結果を出すことが全てだと思って頑張ったし、結果も出たのに何故・・・。


まだその答えは出ませんが、いずれにせよ自分が招いたことは確かです。

次の職場では、今回の失敗を2度と繰り返さないようにしたいと思っています。

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