【Case 19】キャリアアップしたい!20代後半・昭和女子の転職ストーリー。

AKさん27歳/女性/転職1回

私には憧れの先輩が居ます。

現在20代の私ですが、前の会社の40代の女性上司です。社内外でもバリバリのキャリアウーマンとして知られており、様々なプロジェクトの立ち上げなどにも積極的に参加されるなど、多数の実績を残されている方です。

私が大学生時代、その会社に就職する以前には

「女性の会社での立場って肩身が狭かったりするのかな・・・」

こういった不安を感じることもありました。しかし、新人研修を担当してくれた先の憧れの女性上司を見ていると、そんな気持ちにもなくなりました。むしろ自分もしっかりとスキルを身に付けてキャリアアップしていきたい!仕事に対する考え方が、3ヶ月の研修期間で大きく変わったんです。「出世しなくていい」という同世代が多い中、私はキャリアアップしたいと言ったら同期から「いいね!昭和だね!」と言われたことを覚えています。


研修期間後の配属先は営業部。まずは先輩に付いて営業アシスタントとしての仕事を覚えることから始まりました。アポイント調整、スケジュール調整、企画書作成、資料作成、時にはお客様への訪問に帯同、報告会議資料作成などなど・・・毎日怒涛のような仕事量でした。

会社が売っていたのは保険などの金融商品。金融商品は商品も販売方法も金融商品取引法などの法律でしっかり規定されているので、そういった知識をしっかり理解しておかなければなりません。また、その他にも社内規定や販売マニュアルなどの注意事項が沢山あり、頭に叩き込んでおかないとそもそも仕事になりません。

当然入社直後のの研修期間だけでは到底覚えきれない内容で、仕事の合間に定期的な勉強会や、外部講師を招いての研修会などもあり、仕事だけではなく勉強もしなければならず、最初の2年くらいは土日全く休むことができない状況でした。しかし私は元々負けず嫌いな性格だったこともあり、同期の中で落ちこぼれないように必死になって頑張りました。

そんな生活が2年ほど続いたある日。同じ営業部に配属された同期が、営業マンとして独り立ちしました。「おめでとう!」という気持ちと「なんで私はだめなの?」という気持ちがないまぜになってしまい、心からの”おめでとう”が言えない心境でした。

次に感じたのは大きな”焦り”です。「私は会社に評価されていないの?」そんなことを毎日のようにぼんやり考えていたら、仕事のミスも増えてしまい、営業部の先輩や上司に注意を受けてばかり。こんな事ではますます昇進が遅れてしまう・・・。焦りはますます募るばかり。負の連鎖ともいえるような日々が続きました。

そんな時に、新入社員研修の時にお世話になった女性上司に久しぶりに社内でお会いしました。

「どう?仕事は順調?元気でやってる?」

「はい。でも最近ミスばかりで、上司に怒られっぱなしです。」

「今度ランチでも行こうよ。何か悩みがあるなら話聞くよ!」

渡りに船だと思い、すぐにメールで連絡してランチにご一緒させてもらいました。

お昼ご飯を食べながら、今の仕事状況や、同期に先を越されて焦っていること、ミスが増えて上司に怒られてばかりいることなど正直に話しました。一通り聞いてくれた後、こんなお話をしてくれました。

「あなたは研修の時いつも元気で、言われたことを素直に一生懸命取り組んでいた。昇進のペースは運や社内事情もあるもの。そんなに気にすることないよ、と言ってもあなたは気にする性格でしょう。だったら逆に、そんなモヤモヤを忘れてしまうくらいもっと仕事にどん欲になってみたら?」

”気にすんな!”的な話をされるものとばかり思っていたら、逆にもっと頑張ってみたらと。面白いな!だからこの人はバリバリ仕事できるんだな。色々なことを感じました。

そして、その日から意識して意欲的に働くことにしました。しばらくその姿勢で仕事に取り組んでみたら、仕事に直接関係ない周囲の事や、同期の動向など、だんだん気にならなくなってきました。

「ほんとだ。言われたとおりだった。」

その後、しばらくして私も晴れて営業マンとして独り立ちすることになりました。はじめてお客様に一人でお会いし、商品の説明をした時の緊張感や嬉しかった気持ちは、今でも忘れられません。

そこから2年ほど経ったある日のこと。お得意先の会社に訪問した時、ふとこんな事を社長に言われました。「転職したいと思ったら、うちに面接においで。即採用するから。」

転職なんてそれまで一度も考えたことがありませんでしたが、その一言から突然他の会社のことが気になり始めました。私は今いる会社の事しか知らないけれど、他の会社ってどんな感じなんだろう。早速休日に調べてみることに。

給料が高かったり、福利厚生が充実していたり、産休育休などの社内制度が整っていたりと、自分が今いる会社との違いなどを色々知ることができました。そして、キャリアアップしたいと思っている私は、このまま今の会社で仕事を続けていっても良いものなのだろうか?と考え始めました。

そもそも今の会社は、業界内ではある程度名の通った歴史ある会社。その中で女性が出世していくのは難しいと言われていることも知っていました。もちろん先の女性上司のように飛び抜けて優秀な方は、そんな環境でも出世していきますし、実際そういった女性管理職は増え始めているのは確かです。

しかし、一方で結婚、出産、育児などの女性としての幸せをどこか犠牲にしているような印象もありました。

私はこの先このまま会社で頑張って昇進を目指すべきなのか、それともワークライフバランスを重視した働き方を目指したほうがいいのか・・・色々と考えるようになりました。

悩んだときは先の女性上司に相談だ!と思い、私は次の日すぐに会いに行きました。そしてまたランチをご一緒してもらい、考えていることを相談しました。

「今の会社は正直体質的に古いかもね。色々と社会情勢に合わせて制度変更はしているから、昔よりは女性も働きやすくなったのは事実。でも、まだまだ足りないから、私はそういったところもどんどん改善していきたいと思っている。あなたが他の会社に転職することは気持ち的には寂しいけれど、あなたの人生を考えると引き止められない。ただ焦って決めないこと。良く考えて決断しなさい。」

寂しいと言われたことは嬉しかったし、こんな上司がいる会社ならこの先勤め続けても安心だなと思いました。でも、私の人生を考えた時、やはりこのままこの会社で仕事を続けていっても、キャリアップには時間がかかりそうだなとも思いました。それはその女性上司が優秀すぎて、私なんか到底足元にも及ばないと思っていたことも少し関係あります。

私はそのランチ会から1年後、転職を決断しました。理由は色々ありますが、女性としてのワークライフバランスを取りながらキャリアアップを目指しやすい環境に飛び込んでみたいと考えたことが最大の理由でした。

女性上司に報告に行ったら、こんなことを言われました。

「相談されたあの日に私は、『ああ、また一人優秀な若者がこの会社からいなくなるな』と思ってた。だからいつかこんな日が来るだろうと思っていたよ。一緒に働けなるのは残念だけど、新天地でも頑張りなさい!あなたは自分が思っているより優秀よ。それは実は周囲のみんなが感じていたこと。どこでもやっていける人だから、次の職場では自分がやりたいと思ったことを頑張って貫きなさい。」

憧れの上司から、私なんかにはもったいないこんな言葉をもらって、号泣してしまいました。

思えば私は恵まれた仕事環境でした。そんな尊敬できる女性が身近にいて、その他にもお手本になるような先輩や上司が沢山周りにはいたなと思います。

次の会社は異業種です。またイチから仕事を覚えなければなりません。営業職では無くなるし、どんな業務内容かまだよくわかっていませんが、自分が目指す仕事を貫きたいと思います。そしていつか、あの尊敬する女性上司に胸を張って報告に行きたいと思っています。

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