【Case 21】「人を大切にする会社」とはどんな会社か。それを知った僕の転職ストーリー。

KMさん28歳/男性/転職1回

大学を卒業してから入社したのは、大手自動車部品メーカーでした。就職の案件はそこそこあるこの時代、今思えば、もっと業界研究して就職先を考え、絞って活動すれば良かったのですが、当時は有名企業であればどこでも良いと考え、最初に内定をもらえた会社に就職しました。もちろん、大手メーカーでしたので嬉しかったですし、大変光栄な気持ちでいました。

入社してすぐ、新入社員は全員、地方の研修施設で1週間の研修合宿を受けました。その時に、希望配属先をヒアリングされました。私は東京の勤務先を希望しました。


そのころの私には、東京を離れられない事情がありました。母が大病を患い入退院を繰り返していたということと、弟がまだ学生で、家事を父と弟と私の3人で分担して行わなければならなかったということが理由です。就職が決まった時、父に「もしかしたら地方に行くかもしれない」と伝えたところ、「そうか!そうなってもウチは大丈夫だ。安心して行ってこい。」と言ってくれたものの、父と弟の2人だけで家のことや母の面倒を見るのは無理だということはわかっていました。就活中、このことは胸に閉まって動いていたのですが、母の病状が中々良くならなかったこともあり、実際仕事が始まってからは、今このタイミングでは東京を離れるわけにはいかないと思っていました。

半年の研修期間も半分が終わったころ、私は思いつめた挙句、人事部に相談してみました。「身勝手だという事は良く分かっているが、家族の事情で東京を離れるわけにはいかない。なんとか東京勤務にしてもらえないだろうか。」

新入社員がこんな相談をしたら、「会社辞めろ」と言われると思っていましたので、玉砕覚悟のダメ元での相談でした。しかし、人事部の方は本当に親身になって相談に乗ってくれました。そして、「ご家庭の事情で東京勤務にしなければならい社員は他にもいる。新入社員ではレアケースだけど、調整してみるから少し時間をくれ。」と言ってもらえました。その会社は、男性新入社員の多くは、まずは地方の工場で現場を知り学ぶという流れが多い会社だったので、その流れに私も入るだろうと思っていました。そんな中、人事部の方は新入社員配属3か月前で私のリクエストに向き合ってくれたのです。

人事部に相談してから1か月ほど経った頃、人事部の上司から呼ばれました。「東京勤務は無理だったかな・・・」私はそんな予感を感じながら、面談に臨みました。人事の方はこんな話をしてくれました。「東京勤務の調整は難しかった。しかし、なるべく東京に近い勤務先にすることはできそうだ。東京から電車で2~3時間くらいの距離だ。どうだろう。この場所で勤め続けることは出来るだろうか。」。私は有難くて涙が出ました。入ったばかりの若造にここまで親身になって色々考えてくれるなんて、感謝しかありません。しかし、こうも考えました。私のわがままで会社に迷惑をかけてしまった。人事の方はもちろん、配属先の各所、同期の仲間たちにも恐らく迷惑がかかっているのだと思う。そう思ったら、このまま私のわがままを通してこの会社に居ても良いのだろうかと・・・。その場は何度も頭を下げて、人事の方にお礼を言って退出したのですが、「色々な人に迷惑をかけてしまった」という思いが強く残りました。

自分のデスクに戻ると、研修中の上司である総務部の先輩に呼ばれました。「人事から配属先の話を聞いた。そんなに家のことが大変だったのか。もっと早く相談してほしかった。今後は早めに相談してほしい。」と言われました。

「色々ご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありません。」と返すと、先輩はこう言いました。「同じ釜の飯を食う仲間になったんだ。助け合っていくのは当たり前の事。お前の状況が落ち着いて、その時誰かが困っていたら今度はお前が助けてやればいいんだ。」。私はまた泣いてしまいました。この会社、なんだか浪花節で好きだな。そう思いました。

それから3年後、私は結局その会社を辞める決断をします。毎週末静岡の勤務先から東京の実家に帰る生活を続けていたのですが、私が過労で倒れてしまったのです。その時も会社は大変親身になってサポートしてくれたのですが、さすがにこれ以上迷惑をかけてはいけないと思い、後ろ髪をひかれる思いではありましたが、会社を辞めることにしました。

その後、東京の人材紹介の会社に転職しました。そこでは営業として企業を回る毎日です。勤務先が東京になったので、家の問題への対応はカラダ的に楽になりました。会社は知名度もあり、社員数も結構多いのですが、創業してからはそれほど経っていないという事もあり、社内はベンチャー的な雰囲気が漂っています。また、人材紹介の仕事で各社を回る中で感じるのは、元々お世話になったメーカーが、いかに良い会社だったかということ。そこで働く人や組織、社内ルールや規律など、ちょっと古い部分もありましたが、今思えば本当に整っていた会社でした。

今の会社に不満はありませんが、良い会社とは有名であることとか、売り上げが大きいということだけでなく、人間的に良い人が集まっていて、組織がしっかりしていて、皆が一生懸命働いている会社なんだと思います。特に自分は、前職で人事に大変お世話になったので、今は色々な会社の人事の方と触れ合う機会が多いのですが、本当に色々な会社があるんだなと思いますし、人を大事にしている会社のほうが、会社そのものが成長しているなと感じることが多いです。 母の病状は落ち着いて、今は以前ほど家の事も大変ではなくなりました。今後は今いる会社をもっと成長させるべく、自分自身もっと仕事を頑張っていきたいと思っています。

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