【Case 17】社長に背中を押されて転職した、私の仕事物語。

DGさん36歳/男性/転職1回

私は転職前、新卒で入社した地元のリフォーム会社で10年働いていました。職場に大きな不満があったわけではありません。むしろ居心地のよい職場環境でした。しかし、務めていた会社の社長に背中を押されて転職することに。とても愛に溢れたお話。こんなケースもあるんです。

父親は小さな工務店の一人親方をしていました。私が中学生のころ、夏休みになるとお小遣い目当てで簡単な大工仕事の手伝いに行ったりしていたため、当時から家が出来上がっていく様子を見ており、建築の仕事をかなり身近に感じていたんです。そんな私は大工さんではなく、内装のデザイナーという道を選びました。中学生の頃から新築の一軒家を何件も見させてもらった記憶と、もともと絵を書くことが好きだったということも影響していたと思います。

高校卒業後は「インテリアプランナー」「インテリアコーディネーター」の他、カラーコーディネートなどの内装に関わる資格を取れる専門学校へ進学しました。その後、地元に帰ってリフォーム工事をメインにしている工務店に入社しました。

元々何かをみんなで作るようなことが好きだったので、大工さんや他のデザイナーさんと連携して家や建物を作っていく建築の仕事は楽しく、やりがいがありました。そして何より、お客様が私の提案に喜んでくれる姿を見るのは、仕事をする上での大きなモチベーションになりました。

入社して7年、20代後半の頃には結婚して新築の一軒家も購入。内装は当然ですが自分で設計しました。また、仲間の大工さんに交じって少しの大工仕事をさせてもらったり・・・家造りはとても楽しいものでした。このように恵まれた環境にいた私ですが、やはり地方の小さなリフォーム工事メインの工務店では修繕工事が主力事業であったため、デザインをする必要のないお仕事などにも従事しました。

転職を考えるキッカケになったのは、ある日の社長から言われた言葉です。

「うちにデザイナーとしていてくれるのはありがたいし、お父さんのこともよく知っているから今まではあまり触れないようにしてきた。お前、本当はもっとデザインをメインに仕事をしたいんじゃないのか?」

社長は普段どちらかと言えば寡黙で、率先して現場に向かって仕事をする職人気質の方でした。さきほどの言葉どおり、昔は工務店の見習いとして父親の仕事を手伝っていた時期もあったようです。子供の頃資材を運んだりしていた私の姿も、覚えてくれていました。

社長は続けてこんな話をしてくれました。「自分はもうこの年齢だし、この先会社を大きくしようともそこまで思っていない。だがお前はチカラがある。デザインという仕事をもっと充実させるなら、もっと新築やビルをやっているような、うちより大きい規模の会社の方がチカラを発揮出来るんじゃないか?」

確かに社長の言葉どおり、その頃の仕事はインテリアプランニングや内装デザインもありましたが、リフォームがメインだったため、空間全体のデザインをゼロからするような機会は少なかったんです。

また、昔のことを振り返ると、入社したころはデザインをたくさんやりたい!と思っていましたが、いつの間にか施工現場や営業などのデザイン以外の仕事のボリュームが増えてしまっていました。

社長はそういう私の姿見て、おそらく心配してくれていたのだと思います。だから転職も1つの選択肢であることを直接伝えてくれたんだと感じました。

社長は「返事はいつでもいい」と言ってくれました。正直、大変悩みました。社長には現場仕事をはじめ、建設の仕事のすべてを教えてもらいました。本当に恩人です。そんな社長のもとを離れて働くことに怖さもありました。

一方で、デザイナーとして成長するなら30代は貴重だしある意味ラストチャンスかもしれないとも考えました。社長が背中をそっと押してくれていることへの感謝の気持ちもあり、最終的に転職を決断。

社長と話した日から半年後、私は新卒で入った会社を辞め、新しい職場へと転職しました。

最終出社日、社長に挨拶に行くと、一言だけ「頑張ってな」と。

涙が止まりませんでした。

あれから3年。私は新しい会社でデザインの仕事をたくさんやらせてもらっています。規模が大きい案件が増えましたが、関わる人数も多いので仕事のボリュームは大きくなりましたし、煩雑にもなりました。でも、自分で決断して入った会社なので、今は一生懸命働いています。

今でも自宅の近くにでは前に勤めていた会社があるため、当時は雇用主と従業員という関係性だった社長とは、近所の居酒屋さんなどで顔をあわせる仲になりました。元の職場との関係性も良いので、デザイン仕事を依頼してくれることもあり、当時の同僚や後輩ともよく顔を合わせます。


今、振り返ってみるとあの時の社長の話は、「仕事は30代で判断しろ」という社長自身の経験から出たアドバイスだったのかもしれません。社長は30歳前半で会社を興したそうです。それから30数年。会社や社員を守っていることは凄いことだし、尊敬しています。

私は本当に恵まれた仕事人生だと思っています。社長があの時私の背中を押してくれたように、いつか私も誰かを励ましたり元気にしたりできるような人間になりたいなと心から思っています。

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