TSさん／22歳／女性／転職１回
子供の頃から体を動かすことが大好きで、学生時代は部活に熱中しました。そして、「好きなことを仕事にする！」、「体を鍛えることの素晴らしさを伝えたい！」そんな想いで、トレーニング業界を目指し、無事就職することができました。
入社後はインストラクターとしての研修を１か月みっちり受けました。無事研修も終わり、インストラクターとしてお客様と向き合う日々が始まりました。一方で、今まで経験したことのないデスクワークや、店舗の掃除にも追われました。トレーナーのデスクワークとは、入会、退会の処理や、お客様ごとのカウンセリング内容の記録。パソコンでの操作も最初は不慣れで苦労しました。掃除も結構大変でした。髪の毛一本落ちていないようにお店の隅々まで丁寧に掃除していきます。それも毎日。研修も定期的に行われるなど、接客している以外の仕事が結構たくさんあって忙しい日々でした。でも憧れのインストラクターになれたことが嬉しくて、毎日がとても充実していていました。
しばらく続けていると、私にも常連のお客様が付いてくれるようになりました。お客様は全員年上。人生の大先輩ばかり。そんなたくさんのお客様に色々なお話を聞くことができました。中でも仕事の話がとても面白くて勉強になりました。IT業界、金融業界、アパレル業界、小売業界など、様々な世界の話を聞くたびに、自分の知らないことばかりなんだな・・・と思い知らされました。そして、自分はこのままトレーナー業を続けていって、その先はどうなるんだろう？という事を考えるようになりました。
憧れだったトレーナー業は毎日が楽しくて充実していましたが、例えばAIがこの先どんどん進化していったら、いずれトレーナーの役割はAIが担うようになるかもしれない。とか、怪我をしたらトレーナー業が続けられないな・・・など。自分の将来を考えると、漠然とした不安が生まれてきました。
そんなある日、久しぶりの休日に自宅で映画を見ていた時の事。「そういえば、私は映画や音楽も好きだった」とふと思い出しました。学生時代は友達と映画に行ったり、自宅でも好きなドラマを見たりYOUTUBEを見たり。音楽も色々なアーティストの音楽をよく聞いてきました。そうだ、これも自分の好きな事。だったらそういう仕事に転職してみるのも良いかもしれない！
まずは転職サイトに登録して、色々な会社の情報を調べ始めました。いわゆるエンタメ業界で転職先を探し始めたのですが、その業界の仕事は未経験。求人はあるにはあるのですが、未経験の私なんか雇ってくれるのだろうか？それに、エンタメ業界は仕事がキツイと、何かの話で聞いたこともあるな・・・。今の会社より大変な業界に飛び込んで、私に務まるのだろうかと弱気に。それに、転職してしまったら、今私に付いて下さっているジムのお客様を裏切ることになってしまうような気持にもなり、結局トレーナの仕事を辞めることができずに時間だけが経っていきました。
ある時常連のお客様に言われました。「先生は何か悩んでいるの？」。しまった！仕事や自分の将来に対する不安な気持ち顔に出てしまっていたかも。でもそのお客様が「私で良かったら話を聞くよ！」と。その方は女性のお客様でバリバリのキャリアウーマン風。いかにも仕事が出来そうな方でした。どうせ自分一人で悩んでいても答えは出ないのだから、思い切って話を聞いてもらおう。と時間を作ってもらい、自分の想いを話してみることにしました。
お客様に一通り自分が考えていたことや不安なことを話したら、その方はこんな話をしてくれました。
「私も１回転職しているの。転職しようかなと考えたときに、あなたと同じように本当に悩んだ。でも、結局不安な気持ちを持ったまま今の仕事を続けても良い結果にはならないと思ったの。だから私は思い切って転職したんだよ。」
怖くなかったですか？会社を辞めることや、新しい職場で自分がちゃんと務まるかどうかとか。
「怖かった。でも転職して良かったと思ってる。なぜかというと、モヤモヤした気持ちは今は無いから。一生懸命頑張って働いて、それでダメなら仕方がないじゃない。」
なんか気持ちが吹っ切れました。そうだ、やる前から悩んでいても、結果なんて出ないですよね。
そこから真剣にもう一度転職活動を開始。もちろん「好きを仕事に！」を合言葉に、エンタメ業界の仕事を探しました。そして、無事に映像制作の会社に転職することができました。未経験入社なので、覚えることばかりで本当に大変ですが、１年前の自分には想像できなかったような仕事を、今は色々とさせてもらっています。
あの時背中を押してくださったお客様には感謝しかありません。また、今回の転職を通じて怖さの先にチャンスがあるんだなと強く思いました。これからどんな人生になるのか今はまだ想像がつきませんが、より良い明日になるよう、色々な事を恐れず頑張っていこうと思っています。
